2022年12月27日に日本代表の森保一監督の続投会見が行われました。契約は次回のW杯までとなり、日本代表監督としては初の長期政権となりそうです。カタールW杯では日本代表を率いグループリーグでドイツとスペインを破り、決勝トーナメントではクロアチア相手にPK戦までもつれ込み、強豪国とも互角以上に渡り合えることを示しました。
そんな森保監督ですが、どのような戦術やフォーメーションで戦うのか、それとも戦術はないという話もあり実際はどのような監督なのか紹介していきます。
森保一 プロフィール・経歴
プロフィール
国籍 | 日本 |
生年月日 | 1968年8月23日 |
出身 | 長崎県長崎市 |
愛称 | ポイチ |
身長 | 174cm |
選手時代ポジション | DMF、CMF |
資格 | JFA S級コーチライセンス |
監督成績 | Jリーグ優勝3回、2022年E-1選手権優勝 |
家族
- 弟:森保洋(Vファーレン長崎 アカデミーダイレクター兼U-18監督)
- 長男:森保翔平(元Jリーガー、現Winner’s /LISEM)
- 次男:森保圭悟(Winner’s /LISEM)
LISEM
長男の森保翔平と次男の森保圭吾はサッカー系YouTuber LISEMとして活躍しています。
経歴
選手時代
- 1979–1980年 土井首SSS(長崎市立深堀小学校)
- 1981–1983年 長崎市立深堀中学校
- 1984–1986年 長崎日本大学高等学校
- 1987–1992年 マツダサッカークラブ
- 1992–1997年 サンフレッチェ広島
- 1998年 京都パープルサンガ
- 1999–2001年 サンフレッチェ広島
- 2002–2003年 ベガルタ仙台
日本代表 - 1992-1996 日本代表🇯🇵(35試合1得点)
選手としては1987年からマツダ(現サンフレッチェ広島)に入団。1991年にはマツダとプロ契約を結び、同年JSL1部昇格に貢献しました。
1992年からは日本代表として選出されるようになりボランチで定位置を確保し、1993年のW杯アジア予選でドーハの悲劇も経験しました。
1998年には京都パープルサンガにレンタル移籍。翌年の1999年には広島に復帰し同クラブ初のJリーグ200試合出場を達成しています。
2002年からはベガルタ仙台に移籍するもチームはJ2降格。森保も戦力外通告を受け2004年には現役引退を表明しました。
指導者歴
- 2004–2007年 サンフレッチェ広島 強化部育成コーチ
- 2005–2007年 JFAナショナルコーチングスタッフ、U-19/U-20日本代表 コーチ、トレセンコーチ(中国地域担当)
- 2007–2009年 サンフレッチェ広島 コーチ
- 2010–2011年 アルビレックス新潟 ヘッドコーチ
- 2012年-2017年7月 サンフレッチェ広島 監督
- 2017年- 東京五輪サッカー男子日本代表監督🇯🇵
- 2018年- 日本代表監督🇯🇵
指導者としては2004年にサンフレッチェ広島で強化部育成コーチに就任しこの年にS級ライセンスを取得しています。
2005年からは日本代表のアンダー世代のコーチなどを経験。その後2007年からサンフレッチェ広島のコーチとして就任し、2012年からは監督に就任しました。2012年、2013年には日本人監督として4人目となるJリーグ2連覇を達成します。2014年は8位でリーグ戦を終了しましたが、2015年には3度目の優勝を果たしました。
2017年にサンフレッチェ広島を成績不振で辞任した後、東京五輪のサッカー男子代表の監督に就任します。東京五輪本大会では最終的に4位で大会を終了しています。
日本代表のAチームの監督としては2018年よりU–23のチームと兼任の形で就任しています。
2019年のアジアカップでは決勝でカタールに敗れ準優勝という結果で終わりました。
2021年には日本代表をカタールW杯へ7大会連続7回目の出場へ導きます。カタールW杯本大会でもグループリーグで強豪国と同組になりますがドイツ、スペインに勝利し決勝トーナメントへ進出。決勝トーナメント1回戦でも前回大会3位のクロアチアに1–1でPK戦までもつれ込むなど善戦しました。
2022年12月28日にカタールW杯での功績から、次回W杯までの続投が決まったことが発表されました。
2018–2022 戦績(カタールW杯まで)
試合数 | 勝 | 分 | 負 | 勝率 | |
---|---|---|---|---|---|
日本代表 | 63 | 41 | 8 | 14 | 69.8% |
森保監督の戦績は勝率69.8%と歴代最高の数字です。この結果からも次回W杯までの続投につながったのではないでしょうか。
森保一 戦術は?
森保監督の戦術は、基本的には守備を重視する監督です。自身でも「良い守備から良い攻撃」と話しているように、しっかり守りボールを奪ってから攻撃に転じることを意識してチーム作りをしているようです。
カタールW杯での戦術は?
ドイツ戦
ドイツ戦では、前半はドイツに押し込まれる展開が続きます。対して日本は低い位置で人数をかけて守り重視の戦い方でした。それでもPKでドイツに先制点を取られ1点ビハインドの状態で前半を折り返します。
後半からは三笘や浅野など攻撃的選手を入れて、フォーメーションも5バックへ変更しました。森保監督はおそらく後半から攻撃的な布陣で勝負に出る考えだったのでしょう。ウイングバックに伊東と三笘を配置することで攻撃時には前線の3枚に加え両ウイングバックの2枚で実質5トップのような形で攻撃することができます。
さらに後半は前から積極的にボールを奪いに行くことでドイツを翻弄しました。同点ゴールの際にはペナルティエリアに日本選手が多数入っていくことで堂安のゴールが生まれます。さらにドイツのDFラインが揃っていない所を浅野が隙をつき逆転ゴールとなりました。
前半は守りを固め後半勝負という戦術が功を奏しました。
コスタリカ戦
コスタリカ戦では、先発メンバーを入れ替えターンオーバする形で試合に臨みました。対するコスタリカは5バックで守りを固め、あまり前からボールを奪いにくる形ではありませんでした。
日本代表はコスタリカのような守りを固めたチームに対して崩すのを苦手としており、ボールを持つ時間が長くなるも得点が生まれないまま前半を終了します。
後半からはドイツ戦同様5バックに変更、さらに伊東や三笘を投入し攻撃的な布陣で得点を奪いにいきます。しかし伊東や三笘に良い形でボールを配給することができず、得点を奪うことができません。チームとしても前からボールを奪いに行くのか、引き分け狙いでも良いのか共通認識がなかったことで攻撃的に行くのか守りを固めるのか、中途半端になってしまったようです。
最終的には低い位置でのミスから失点につながり敗戦となってしまいました。守備的な相手を崩す形がないのは今後の課題となりそうです。
スペイン戦
スペイン戦では、今までのドイツ戦、コスタリカ戦とは違い試合開始から5バックで試合に臨みます。この試合は初戦のドイツ戦と同じく前半は守備的に守り切り、後半から攻撃的に仕掛けていくという戦術でした。前半は5バックで守備に人数をかけることで崩される場面はほとんどありませんでした。それでもサイドからのクロスを上げさせてしまい、失点してしまいます。
そして後半から三笘や堂安を入れて攻撃的な形へ。さらに前半とは打って変わって相手のDFラインに対してもハイプレスを仕掛けていきます。スペインは前半と後半での日本の動きに対応できず、日本代表の同点ゴールにつながりました。立て続けに日本代表が追加点を入れて優勢になります。
その後も、守りを固め危なげなく試合を進めます。スペインはファティを左サイドに入れて得点を奪いにきますが、冨安を右ウイングバックに入れることで相手の右サイドの攻撃を封じます。日本代表は試合終了まで1点のリードを守り切りグループリーグ首位で突破を決めました。
ドイツ戦と同じく後半勝負の戦術で勝利を収めました。
クロアチア戦
クロアチア戦では、スペイン戦と同じく前半から5バックの布陣です。クロアチアはあまりボールを持つチームではないため日本が攻勢に出る場面が多く伊東純也を起点にチャンスを作り出すことできていました。そして前半43分にセットプレーから前田が先制点を奪い前半を折り返します。
後半からはクロアチアが日本の守備を崩すことができないため、ロングボールやクロスを積極的に入れてくるようになりクロスから失点してしまいます。日本も良い守備から良い攻撃というコンセプト通りカウンターを狙いますが、クロアチアはロングボールなどで人数をかけずに攻めてくるため、DFが揃っており日本のカウンターが通用しない状況となってしまいました。
延長戦でも決着は付かず、PK戦へ。日本は浅野が決めたのみでクロアチアが3人PKを決め敗退となりました。
クロアチア戦では、ドイツやスペインとの試合で見せた守備からカウンター狙いの戦術が通用せず、その他に攻撃の形がなかったことから攻めあぐねてしまったのではないでしょうか。
日本代表でのフォーメーションは?
森保監督は守備的な戦術が得意なためサンフレッチェ広島を率いていた時は5バックのシステムを採用していました。日本代表監督になってからは選手に合わせて4–3–3や4–2–3–1でW杯最終予選を戦っていましたが、最終手段として5バックのシステムも残していたようです。
この形では中盤3枚が激しくプレスをかけてカウンターを狙っていく。右の伊東が起点となり左サイドの南野が中央に入って行き大迫と共に得点を狙っていく。
メモの内容は?
カタールW杯でも話題となった試合中のメモの内容はどのようなものなのか。森保監督は前半に試合中起きたこと、例えば「〇〇シュートを打った。」「○○サイドからの攻撃。」などを記載しているようです。そして具体的な事象をコーチなどと共有し、同じ内容であればハーフタイムに選手に伝えて修正に繋げているようです。
後半の内容は試合が終わった後の振り返り用としてメモをしているようですが、試合が終わってからは選手に伝えることはないようで後半はあまりメモは取らないようです。
こちらの動画内で森保監督自身がメモについて話しています。
森保一は戦術がない?
一部では森保監督は戦術がないという話もありますがどういった所から戦術がないと言われているのでしょうか。
選手主体のチーム作り
森保監督は基本的に選手に細かい戦術を決めさせているようで、ヨーロッパで活躍する選手に対し自分なんかが教えられないというスタンスのようです。
そのため吉田麻也や遠藤航などが中心になって戦術や細かい約束事は決めているそうです。またカタールW杯のスペイン戦での5バックのシステムについては鎌田がフランクフルト式の5バックでの守備を提案し、試合中の修正などは守田が指示を出すなど選手が中心となって戦術を決めているようです。
2–0で勝利したアメリカ戦では、選手で話し合って前からハイプレスをかけて行くことを決めていたようで、前半その戦術がうまくいき得点を奪うことができましたが、後半からアメリカが3バックにしたことでプレスがかからず前半よりも攻勢に出ることはできていませんでした。そういった場面では監督が修正をしなければならない所とも言えそうです。
実力のある選手よりも経験のあるベテラン選手を優先?
カタールW杯のメンバー選考でもセルティックの古橋や旗手が外れるなど、実力のある選手でもメンバー外となってしまっています。その選手達よりも吉田や柴崎、長友などベテラン選手が優先される傾向にあります。
ベテラン選手を優先する理由としては前述した通り選手主体のチーム作りのためにチームをまとめる役割としてベテランの選手を優先していることが考えられます。
選手交代の遅さや保守的な采配
選手交代の面で森保監督は交代が遅いことや思い切った選手交代などないことが指摘されていました。
しかしカタールW杯では、ドイツ戦の後半開始からフォーメーションを変更や攻撃的な選手を入れるなど保守的なイメージを払拭していた印象です。
またスペイン戦では、スペインのファティに対して冨安を投入するなど修正力も見せてくれました。
カタールW杯に出場した酒井宏樹もドイツ戦で後半からの5バックへの変更にかなり驚いていたようです。
今後もこのような思い切った選手交代を期待していきたいですね。
攻撃は個人能力頼み?
森保監督は攻撃に関しては「戦術三笘」と話すなど、三笘や伊東純也といった突破力のある選手に頼っている部分があり、チームとして崩していく形はあまり見られません。そのため周りと連携しながら攻撃することが得意な久保や鎌田は活きない戦術と言えます。
W杯終了後日本代表選手は今後はカウンターで突破力のある選手に任せた戦い方ではなく、自分達でボールを保持しながら攻めて行きたいと話しています。今後森保JAPANで違った形の攻撃が見られるのか注目です。
まとめ
今回はサッカー日本代表の森保一監督の戦術など紹介しました。基本的には保守的な監督で守備重視の戦い方が得意な監督です。日本代表のチーム作りでは選手主体のチーム作りをしていたようで、そういった面が戦術がないと言われている要因と言えそうです。
また次回W杯まで森保監督の続投が決まりましたが、今後は自分達のボールを持った攻め方など新たな戦術が生まれるのか注目して行きたいですね。
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