ミケル・アルテタの戦術とは?プロフィールや経歴は?【アーセナル監督】

現在プレミアリーグで首位を走るアーセナルの監督ミケル・アルテタ。監督としてチームを率いる経験はアーセナルが初めてでまだ41歳と他のプレミアのクラブの監督と比べてもかなり若い青年監督です。2019年よりアーセナルを率いていますが就任初年度は当時低迷していたアーセナルを復調させることはできず順位も8位で終了しヨーロッパリーグの出場さえ叶いませんでした。それでも少しずつ理想のチームへと近づけており今シーズンは圧倒的な強さを見せ、アーセナルをリーグ戦首位へ引き上げています。

そんなミケル・アルテタ監督はどんな戦術をチームに落とし込んでいるのか、さらにプロフィールや経歴など紹介していきます。

目次

ミケル・アルテタ(Mikel Arteta Amatriain) プロフィール・経歴

プロフィール

国籍スペイン
生年月日1982年3月26日
出身スペイン サン・セバスティアン
身長175cm
選手時代ポジションDMF
監督成績FAカップ:1回(2019–2020 アーセナル)
コミュニティシールド:1回(2020 アーセナル)
個人成績ロンドン・フットボール・アワード 年間最優秀監督:1回(2022–2023)

妻はスペイン人の女優やタレントとして活躍するロレーナ・ベルナルで3人の息子がいます。

戦術家としての印象が強いアルテタですが、オールアナッシングを見ると熱い一面も持ち合わせておりチームを鼓舞し選手の気持ちを高めることのできるモチベーターとしても優秀な監督であることが分かります。

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経歴

選手経歴

  • 1999 バルセロナC🇪🇸
  • 1999-2002 バルセロナB🇪🇸
  • 2001-2002 パリ・サンジェルマン🇫🇷(レンタル)
  • 2002-2004 レンジャーズ🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿
  • 2004-2005 レアル・ソシエダ🇪🇸
  • 2005 エバートン🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿(レンタル)
  • 2005-2011 エバートン🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿
  • 2011-2016 アーセナル🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿
    代表歴
  • 1998-1999 スペインU–16🇪🇸
  • 1999 スペインU–17🇪🇸
  • 1999-2001 スペインU–18🇪🇸
  • 2002-2003 スペインU–21🇪🇸

アルテタはユース時代に地元のクラブ、サンティアゴで選手としてキャリアをスタートします。そこで幼馴染となるシャビ・アロンソと出会い共に中盤で司令塔のポジションを得意とする選手でお互いを高め合いました。少年時代から頭脳明晰で戦術眼はシャビ・アロンソを上回っていたそうです。

アルテタはシャビ・アロンソと同じチームでプレーすることを夢見ていましたが、アルテタがバルセロナに加入することになり2人は別れることになります。

バルセロナの下部チームに所属したアルテタですが、トップチームに昇格することは叶わずパリ・サンジェルマンにレンタル移籍しました。

その後2002年からはレンジャーズに所属しリーグ戦を含め3つのタイトル獲得に貢献しています。

2004–2005シーズンには一度スペインに戻りレアル・ソシエダに加入しますがすぐにエバートンにレンタルされることになりました。

エバートンでは6シーズン過ごすことになり当時監督であったモイーズから中盤の軸として起用され2005–2007の2シーズンはクラブの年間最優秀選手にも選ばれています。

2011年からはアーセナルに加入。2014–2015シーズンからはチームのキャプテンにも選ばれ2016年までプレーし選手を引退しました。

指導者経歴

  • 2016-2019 マンチェスター・シティ🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿(アシスタントコーチ)
  • 2019– アーセナル🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿

選手を引退後は2016年よりマンチェスター・シティに加入しグアルディオラの元でアシスタントコーチを務めることになります。アルテタは個人選手の指導に定評がありボールを受ける体の向きなどを熱心に指導していたようです。

マンチェスター・シティではプレミアリーグ優勝2回FAカップ優勝1回リーグカップ優勝2回を経験しました。

そして2019年1月にウナイ・エメリの後任としてアーセナルの監督に38歳の若さで就任することとなります。

アーセナル就任した最初のシーズンはFAカップで優勝しタイトルを獲得しますが、リーグ戦では一時的に15位までに転落するなどチームは低迷。最終的には8位でシーズンを終了しました。

21–22シーズンから徐々に順位を上げ22–23シーズンになるとシーズン序盤から好調を維持し、29節時点で首位をキープしています。

ミケル・アルテタの戦術は?

アルテタの戦術は基本的にポゼッションサッカーを好んでおり、ボールを保持する時間を長くし相手よりも優位に試合を進めていきます。守備の局面では前線からハイプレスをかけて積極的にボールを奪いにいきます。そのやめカウンターも狙いやすく、バリエーション豊富な攻撃が見られます。

また21–22シーズンオーバメヤンの規律違反を受けてキャプテンを剥奪するなど、アルテタはチームの規律を重要視しており統率の取れたチーム作りも戦術を落とし込むうえで大切な要素としています。

では具体的にアルテタはどのような戦術で戦うのかアーセナルの試合から分析していきます。

左右非対称なビルドアップ

アルテタはアーセナルに就任当初からクリーンなビルドアップをすることを徹底してトレーニングしていたと報道されていました。現在のアーセナルでもビルドアップは特徴的で左右で違った形の前進が見られます。

特に左サイドでのビルドアップは特徴的で、アーセナルがボールを保持している際に左サイドバックのジンチェンコがボランチの位置に入る偽SBの役割をこなし中盤に厚みを持たせています。ジンチェンコがボランチの位置に入ることでセンターバックの選手がボールを持った際にボランチへのパスコースが増えさらにマークを引き付けることでマルティネッリへのパスが繋がりやすくなるメリットがあります。

また左サイドではウイングのマルティネッリ、インサイドハーフのジャカ、サイドバックのジンチェンコの3人が頻繁にポジションチェンジを行い流動的にプレーをします。それによって相手はマークに付きづらくなり、アーセナルも常に陣形を保つことができるためビルドアップしやすくなります。

ビルドアップ時のフォーメーション配置

そして右サイドでは左と違いポジションチェンジはそれほど多くはありません。右サイドバックのホワイトは3バックの一角に入るようなポジションをとり、タイミングを見てオーバラップし攻撃に参加します。基本的にはサカが右サイドの高い位置で相手ディフェンスと1対1の状況で数的優位を作ることのできる場合のみホワイトはオーバーラップを仕掛けていきます。

またサカがワイドで張っている際にマークを外すためのプレーで見られるのが、ホワイトが中央のスペースにボールを出しそこにサカが走り込みそのままカットインするプレーが見られます。サカが中央に走りながらボールを受けることができるため加速してカットインができ一気にチャンスに繋げることのできるプレーです。

右サイドでのビルドアップ

第30節のリバプール戦では右サイドのハーフスペースをサカが使ったビルドアップのプレーから得点が生まれました。

アルテタは左右で選手それぞれの特徴を活かしたビルドアップをすることでよりボールを前進しやすい形を作っています。

ウイングの得点力とジャカの2列目からの飛び出し

アルテタは攻撃面でビルドアップにこだわりがあり徹底的にトレーニングを行っていると言われていますが、最終的に得点を量産できる要因は両ウイングの得点力とジャカの2列目から飛び出しが要因になるでしょう。

両ウイングのマルティネッリとサカはサイドでのドリブル突破はもちろん中央にポジションをとり、得点を狙えることも大きな強みとなります。その得点力の高さから2人とも29節時点ですでに2桁得点を達成しておりチームを牽引しています。

また今シーズンよく見られる動きがインサイドハーフのジャカが2列目から飛び出して得点を狙いに行くプレーが見られます。

積極的に前線に飛び出していくことで攻撃に厚みが増しよりゴールに繋がりやすくなっています。

ミケル・アルテタ フォーメーション

アーセナル22–23シーズン 4–3–3

アルテタは就任当初から4バックと5バックを相手に合わせて柔軟に対応できる監督です。就任初年度のFAカップ準決勝ではシティ相手に5バックの形で挑み2–0で勝利しています。この試合では5–4–1でシティのスペースを消し失点をゼロに抑えました。

今シーズンは4バックの形を基本としており、試合終盤に5バックの形で守備を固める場合もあります。攻撃時には左サイドバックのジンチェンコがボランチの位置に入りDFラインは3バックのような形でビルドアップしていきます。

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各ポジションの戦術的役割

ゴールキーパー(ラムズデール、ターナー)

GKはDFラインでボールを保持している際にビルドアップに参加し数的優位を作ります。そのためキーパーとしての能力だけでなく足元の技術も必要でパスの精度も求められます。

センターバック(マガリャンイス、サリバ、ホールディング、キビオル)

アーセナルではビルドアップの形にこだわっているため、センターバックの選手も常に縦パスを狙っていきます。そしてアルテタはボールを前に運んでいけるセンターバックを求めているため相手のプレスがこない時はボールを運びながら縦パスを狙っていくことが重要になります。

左サイドバック(ジンチェンコ、ティアニー、冨安)

左サイドバックは今シーズンの戦い方でカギとなるポジションです。ボールを保持している際には中央にポジションをとりボランチの位置まで入っていきます。いわゆる偽SBと言われる戦術で中に入ることでパスコースが増えセンターバックからウイングでのパスコースも空きやすくなるメリットがあります。

そのためシティ時代から偽SBのタスクをこなしていたジンチェンコがファーストチョイスとなっているのが現状です。昨シーズン左サイドバックで先発出場していたティアニーは基本的にサイドで幅をとってプレーするタイプのため中央でのプレーは苦手としています。それでもティアニーが出場した試合では中央にポジションをとっている場面が見られ、出場機会を増やしていくためにも中央でのプレーの精度を高めていくことが必要になります。

右サイドバック(ホワイト、冨安、パーティ)

今シーズン右サイドバックはホワイトが先発で出場することが多く基本的には左のジンチェンコがボランチの位置に入るためホワイトは2枚のセンターバックに並んで実質3バックのような形をとります。後ろが3枚並ぶためビルドアップが安定するメリットがある配置です。また守備だけではなく、攻撃参加も必要でサカが右のハーフスペースを使うことが多いため大外からオーバーラップしクロスから得点につながるプレーも重要になります。

冨安がヨーロッパリーグのスポルティング戦で負傷したこともありパーティが右サイドに入るシステムもアルテタは試しています。

アンカー(パーティ、ジョルジーニョ、エルネニー)

ビルドアップを重要視するアーセナルにとってはキーとなるポジションアンカー。このポジションではセンターバックからのパスを受けて前を向く技術が必要でさらに相手のプレスも厳しくなるポジションなので足元の技術フィジカルの強さも求められます。さらに守備面でも重要となるポジションで積極的にボール奪取を狙っていくことが必要です。

パーティの代わりとなる選手の不在が懸念されていましたが、冬の移籍市場でチェルシーからジョルジーニョを獲得したことで試合によってはジョルジーニョが先発出場することもあり戦力アップにつながっています。

左インサイドハーフ(ジャカ、スミス・ロウ)

左インサイドハーフのジャカは積極的に前線に飛び出しゴールを狙っていきます。中盤の選手がボールを持った際には頻繁に裏への抜け出しを行います。またウイングのマルティネッリと左サイドバックのジンチェンコとのポジションチェンジを多く行い流動的な動きが必要です。

右インサイドハーフ(ウーデゴール、ファビオ・ビエイラ)

右インサイドハーフのウーデゴールは左のジャカよりも中盤でのプレーが多くなりほぼトップ下のようなポジショニングでゲームメイクする役割が求められます。また右ウイングのサカとの連携も多く2人で相手を崩していくプレーも特徴的です。中盤での意表を突くパスから多くの得点を生み出しています。

左ウイング(マルティネッリ、トロサール)

左のウイングは突破力が必要でサイドでのドリブルの能力が求められます。またサイドで張ったプレーだけでなくインサイドハーフのジャカとのポジションチェンジなどで中央でのプレーも必要です。そのためマルティネッリの得点数も増えており決定力の高さが活かされています。

右ウイング(サカ、ネルソン)

右のサカはサイドでのドリブルとカットインからのシュートで得点、アシストを量産しアーセナルのオフェンス陣で圧倒的な存在感を放っています。独力の突破が魅力ですが、ウーデゴールやホワイトとの連携も良く得点につながるプレーが多く見られます。

センターフォワード(ジェズス、トロサール、エンケティア)

センターフォワードは基本的にジェズスがファーストチョイスとなっており、低い位置まで下がって来てビルドアップにも参加します。そのため得点だけでなく中盤でボールを受ける動きや得点につながるプレーなど数字以外での活躍が見られます。また今冬加入したトロサールもゲームメイクの能力があり、さらにサイドに流れてプレーできることも魅力的です。

まとめ

今回は22–23シーズンプレミアリーグで首位を走るアーセナルの監督、ミケル・アルテタについて紹介しました。アルテタの戦術の特徴はハイプレスの守備とポゼッションを重視しておりDFラインからのビルドアップについてこだわりのある監督です。また戦術家の要素だけでなくチームの規律を重視しモチベーターとしての一面も持ち合わせています。

アルテタがどのような戦い方で試合に臨んでいるのか注目してみても面白いかもしれません。そんなアーセナルの試合はABEMAで視聴可能です。

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